医療コラム

2026年09月10日

箱石シツイさんを偲んで|私たちに教えてくれた健康長寿と生き方

箱石シツイさん、ありがとうございました
109歳まで「生涯現役」を貫いた姿から、私たちが学ぶこと

2026年9月1日、109歳の箱石シツイさんがお亡くなりになりました。
医師の私が知る限り、世界一健康的に生きられた方です。
心より尊敬しておりました。

箱石さんは、世界最高齢の現役理容師として知られ、108歳まで仕事を続けられました。
私の診療の際、パワーポイントのスライドでお見せしたことも多いため、ご存知の方もいらっしゃるでしょう。
実は、その前日の8月31日、私は製薬会社の社内講演で講師を務めていました。
講演の最後に、私は箱石さんの写真を皆さんにお見せしました。
107歳の箱石さんが、足に1.5kgのアンクルウエイトをつけて脚の曲げ伸ばしをしている写真です。なんと、それを毎日1,000回も続けていたといいます。

そして私はこう締めくくりました。
「どんなに素晴らしい医師の診療や製薬会社の薬よりも、箱石さんの真似をすることが何よりも自立長寿につながります」
まさかその翌日に、箱石さんが旅立たれるとは思ってもいませんでした。

私たちのクリニックでも、箱石さんを紹介してきました。
最近の方は生活習慣病管理はうまくいって当たり前、いかに長生きして、寝たきりにならないかという時代です。
この目的で私は以前から、高齢の患者さんに箱石さんの写真をお見せしてきました。

• 107歳で1.5kgの重りをつけて脚を動かす姿
• 105歳のときに、しっかり食事をされている姿
• 100歳を超えても仕事を続け、東京オリンピック2020の聖火ランナーを務められた姿

箱石さんは、アンクルウエイトを使った運動以外にも、いくつもの運動を70歳の時から毎日続けられていたのです。

その写真を見た患者さんが、感動して涙ぐまれることもありました。

それは、単に「109歳まで生きた」という事実に対してだけではないはずです。
「自分も、年齢を理由に諦めなくていいのではないか」
そんな希望を、箱石さんの姿から感じ取られたのではないでしょうか。

健康長寿の土台にあるもの
箱石さんは、私たちに健康長寿の答えを見せてくださいました。
それは、「年齢を理由に諦めないこと、そして継続することの大切さ」です。

医療はもちろん大切です。薬も欠かせません。
しかし、健康長寿の土台にあるのは、毎日の生活そのものです。

• 歩く
• 体を動かす
• しっかり食べる
• 人と話す
• 仕事や役割を持つ
• そして、生きることを楽しむ

箱石さんが109年の人生で示してくださった姿を、私たちはこれからも患者さんに伝えていきたいと思います。

箱石シツイさん。
私たちに素晴らしい「生き方」を見せてくださり、本当にありがとうございました。

心よりご冥福をお祈りいたします。

執筆情報

執筆者
医療法人 亀寿会 亀岡内科
亀岡内科院長 医学博士 亀岡 慶一